研究について

研究とは

研究とは新たな発見をすることで医学の道を前に進めることです。
医学は現場で患者さんを治す臨床と共に新たな診断法・治療法を開発し医学を前に進める研究の存在が不可欠です。

そんな研究を行うことができるのはアカデミアである大学病院の強みでもあります。

研究紹介

【テーマ】
細胞シート工学再生医療技術を用いた生殖臓器の再生に関する研究

当講座での研究の一つとして、再生医療技術の一つである細胞シート工学技術の産婦人科分野への応用研究を行っています。

細胞シートについて

再生医療とは機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して、細胞を積極的に利用して、その機能の再生をはかる医療です。

細胞シートとは本学の先端生命医科学研究所が開発した、細胞をシート状にして患部に移植するという再生医療技術の一つです。
細胞シート工学技術は多くの臓器や疾患に対して臨床応用もなされており、産婦人科分野においても臨床応用を最終目標として基礎研究を行っています。

現在行っている研究では、子宮内膜から取った細胞で細胞シートを作成し研究を進めています。
この子宮内膜細胞シートを使って、培養皿上で子宮内膜様組織を構築し、体外の環境で細胞のみから成る3次元の子宮内膜組織の作成に成功しました。

ラット子宮内膜細胞から作成した子宮内膜上皮細胞と間質細胞シートを積層化したもの(図左)

積層化した子宮内膜細胞シートを体外環境で維持したもの(図右)

赤の子宮内膜間質細胞層の上に緑の子宮内膜上皮細胞層が構築され、正常の子宮内膜組織と同様の構造を呈しています。

この、積層化子宮内膜細胞シートをラットの子宮内膜に移植をすることで子宮内膜を再生させることに成功しました。

GPF(緑)でラベルされた子宮内膜細胞シートを移植したあとのラット子宮(図左)
H&E染色では、子宮内膜上皮と共に内膜線組織も確認され、正常子宮内膜と同様の組織の再生が確認されました。(図中)
GFP(緑)でラベルされた細胞によって構築された子宮内膜組織が観察できる。これは細胞シートとして移植した細胞です。(図右)

さらに、この再生子宮の機能評価として妊娠が成立することも確認されました。
この結果は、体外で作成された子宮内膜細胞シートが、子宮内膜の構造と機能の再生に有効であることを示しています。
(ref. Fertil Steril, 2018. 110(1): p. 172-181.e4.)

将来、この技術を子宮内膜欠損などの患者さんに応用できる可能性があると考えています。

左側の正常子宮に複数の胎嚢が確認され、右側の胎嚢の一つに緑の蛍光が確認される。これはGFP(緑)でラベルされた細胞を移植したことで再生した子宮内膜に妊娠が成立したことを示しています。(図左)

断面の図においても、GFP(緑)でラベルされた細胞で再生された子宮内膜組織が妊娠に伴って胎盤の一部と脱落膜へと変化しています。ラベルされていない受精卵からできた胎児は緑色の蛍光が出ていません。(図右)

研究実績の一例

  • 藏本吾郎 先生

    2016年度 第68回日本産科婦人科学会学術講演会 優秀演題賞

    「細胞シート工学再生医療技術を用いた子宮内膜再生による妊孕性の回復に関する研究ーラット再生子宮内膜による妊娠の成立」

  • 堀部悠 先生(2017年)

    2017年度 第69回日本産科婦人科学会学術講演会 JSOG Congress Encouragement Award

    「Comprehensive analysis of methylation of blastocysts cultured by four different constituents derived from In Vitro Fertilization in mice」

  • 鈴木崇 先生

    2020年度 厚生労働科学研究費補助金 若手研究

    「細胞シートを用いた子宮内膜組織の三次元構築と受精卵着床・浸潤解明に関する研究」

  • 阿部結貴 先生

    2020年度 厚生労働科学研究費補助金 若手研究

    「癌性腹水微小環境が及ぼすγδ型T細胞の増殖抑制解除を目指した新規免疫細胞療法開発」